講演は日本語で行われます。
日時
2019年3月8日(金)16:30〜17:30
場所
吹田キャンパス 生命機能研究科 ナノバイオロジー棟3階 セミナー室
演者
水橋孝治(ミシガン大学歯学部矯正小児歯科)
演題
ユニークな骨格幹細胞が成長板軟骨の休止細胞層に存在する
要旨
骨格幹細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、骨髄間質細胞などの多様な細胞を作り出すことにより、骨の成長と維持を司る。我々は以前、マウス長管骨軟骨細胞群中に骨格細胞の前駆細胞が存在することを示唆する報告を行った。今回我々は細胞系譜の解析を行った結果、生後成長板軟骨の休止細胞層に骨格幹細胞が存在し、長期に渡り成長板軟骨の維持に貢献することを明らかとした。この骨格幹細胞はまず増殖軟骨細胞へと分化し、さらに従来アポトーシスにより細胞死を迎えると考えられていた終末分化細胞である肥大化軟骨細胞へと分化したのち、骨髄まで到達して骨芽細胞および骨髄間質細胞に転分化した。また増殖層の軟骨細胞は、休止軟骨細胞中から分泌される副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)によるフォワードシグナルと、肥大化軟骨細胞から分泌されるインデアンヘッジホッグ(Ihh)によるリバースシグナルにより協調性に維持されており、これらの細胞が骨格幹細胞の運命を厳密に制御する役割を果たしていた。この巧妙な機構により幹細胞の維持とその娘細胞の恒久的な供給が保証され、生後の長管骨の長軸方向への成長が維持されていると考えられる。
参考文献
- Ono, N., Ono, W., Nagasawa, T. and et al.
A subset of chondrogenic cells provides early mesenchymal progenitors in growing bones.
Nat. Cell Biol., 16, 1157-1167 (2014) - Mizuhashi, K, Ono, W., Matsushita, Y., Sakagami, N., Takahashi, A., Saunders, T.L., Nagasawa, T., Kronenberg, H.M., and Ono N.
Resting zone of the growth plate houses a unique class of skeletal stem cells.
Nature Nov; 563 (7730): 254-258 (2018)
世話人
長澤丘司
Tel: 06-6879-7967
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/jpn/seminar/seminar/docs/fbs-seminar-nagasawa-20190308.pdf