日時
2018年8月21日(火)16:30〜18:00
場所
吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
演者
坂場武史(同志社大学大学院脳科学研究科)
演題
中枢神経系におけるシナプス伝達の生理学
要旨
シナプス伝達の基本特性はイカの巨大シナプスや神経筋標本などによって、1990年代以降では哺乳類中枢シナプスを標本として明らかにされつつある。私たちは、げっ歯類聴覚系脳幹にあるcalyx of Heldとよばれる大型シナプスにおいて、シナプス前後部同時記録を用い、シナプスの入出力関係から神経伝達物質放出のメカニズムを明らかにすることを試みてきた。ここで得られた知見が中枢シナプス一般にあてはまるのか、つまり、すべてのシナプス前終末が同じような伝達物質放出メカニズムを持つのか、異なるとすればどこがどのように違い、結果としてどのような機能的多様性ができるのかはわかっていない。そこで、シナプス前後部から同時記録可能ないくつかの標本(海馬苔状線維-CA3シナプスなど)を比較している。また同じシナプスでも、シナプス前細胞の発火パターンによってシナプス伝達強度は短期・長期の可塑的変化を示すが、そのうちシナプス前性の可塑性に関して、伝達物質放出機構のどこがどのように変わるかを調べている。将来的にはシナプス間の機能的多様性、シナプス内の可塑性をなるべく簡単かつ統一して説明できるシナプス一般モデルを作るのが目標である。さらに、シナプス伝達メカニズムを電気生理学で調べていてもシナプス内部で何が起こっているかはわかりにくいため、全反射蛍光顕微鏡を用いてシナプス小胞などの動きを観察し、伝達物質放出メカニズムをより直接明らかにすることを試みている。
世話人
村上富士夫
Tel: 06-6879-4637
E-mail: murakami@fbs.osaka-u.ac.jp
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/jpn/seminar/seminar/docs/fbs-seminar-murakami-20180821.pdf