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Channel: 大阪大学大学院生命機能研究科
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第177回生命機能研究科研究交流会2017年12月20日(水)12時15分~13時講演:中山彰吾(分子生体情報学研究室(月田研)・D1)/柏原宏香(月田研・D3)/矢野智樹(月田研・助教)

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【講演案内】

〇演者1:中山 彰吾(分子生体情報学研究室(月田研)・医学系研究科 博士課程1年)

所属:生命機能研究科 分子生体情報学研究室(月田研)
  
演題:「平面内細胞極性制御因子Dapleを介した気管多繊毛同調運動の制御メカニズム」

要旨:
気管の多繊毛上皮細胞は内腔側に多数の繊毛を有している。気管多繊毛上皮細胞では、平面内極性(PCP : Planar Cell Polarity)を介して多数の繊毛の配向と配置が揃うことで、多数の繊毛は同調して運動し、外部から侵入した感染源を生体外に排除する。しかしながら、PCPが繊毛の配向と配置を制御するメカニズムについて不明の点が多い。
PCPの形成には、Vangl、FrizzledなどのコアPCPタンパク質が主要な役割を担っていることが知られている。コアPCPタンパク質は細胞の片側に偏在し、多繊毛同調運動の確立に重要であることが示唆されている。ここでは、多繊毛上皮細胞に特異的な発現を示すPCP制御因子Dapleに着目して、繊毛の配向と配置の制御におけるPCPの役割について、Dapleノックアウトマウスを用いて解析した。

〇演者2:柏原 宏香(分子生体情報学(月田研究室)医学系研究科 博士課程3年))

所属:生命機能研究科 分子生体情報学研究室(月田研)
  
演題:「中心体機能制御基盤としてのアペンデージ構造の役割」

要旨:
哺乳類細胞の微小管形成中心である中心体は、分裂期は紡錘体の極、休止期は一次繊毛の基部構造である基底小体として、細胞周期の各段階に応じて機能・構造を柔軟に変化させる。一連の過程は細胞周期依存的と考えられているが、近年、中心体が細胞周期の進行を監視・制御するという新規概念が提唱されている。細胞周期と中心体構造変化の同調性を司るシグナル発信起点の特定には問題解決の緒である中心体の分子基盤の理解が欠かせない。
 我々の研究室ではこれまでに、親中心小体・基底小体関連蛋白質ODF2の機能解析により、ODF2がアペンデージ構造の形成の基礎となる重要な因子であることを示しているが、現時点でODF2を起点としたアペンデージ構造の構築を担う分子基盤の理解は十分とは言えない。今回、我々は中心体・基底小体に関連する既存オミクスデータの統合的データ解析と細胞内共沈実験からODF2新規相互作用因子としてCep128を見出した。本セミナーではODF2-Cep128を基軸としたアペンデージの構成秩序解析に加えて、細胞周期制御におけるアペンデージの機能解析結果に関しても紹介したい。

〇演者3:矢野 智樹(分子生体情報学(月田研究室)医学系研究科 助教)

所属:生命機能研究科 分子生体情報学研究室(月田研)
  
演題:「細胞内代謝によるタイトジャンクション-細胞骨格の制御メカニズムの解明」

要旨:
上皮細胞は細胞接着装置により隣り合う細胞と接着する事で上皮細胞シートを形成している。この上皮細胞シートが私たちの体を覆うことにより、外界と体内が隔てられ私たちの体は恒常性を維持している。近年、私たちは上皮細胞のアピカル面には微小管ネットワーク構造が存在し、この構造は細胞間接着装置の一つであるタイトジャンクション(TJ)と連結していることを見出した。また、その連結に細胞内代謝が深く関与していることが示唆され、細胞内代謝がTJを制御し、細胞骨格などを通して上皮組織全体の構築や維持に寄与していると考えた。細胞内代謝とTJの関係についての研究は未だ報告されておらず、制御の詳細なメカニズムについては今後の課題であるが、今回のコロキウムでは私たちが見出したメカニズムの一端をご紹介したい。


世話人:田村 淳(生命機能研究科・准教授)
Tel:06-6879-3321
E-mail:tsukiweb@biosci.med.osaka-u.ac.jp

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