図1.炎症アンプは非免疫系細胞の炎症誘導機構である
血管内皮細胞や線維芽細胞といった非免疫系細胞が、IL-6とIL-17などの転写因子STAT3およびNF-kBを同時活性化させるような因子によって刺激を受けると、それぞれの単独刺激と比較して大量のIL-6やケモカインといった炎症性因子が発現誘導される(赤色の棒グラフ)。放出されたIL-6は自身の細胞に作用するという増幅ループ(炎症アンプ)が形成され、これが自己免疫疾患モデル(F759関節炎や多発性硬化症モデル:EAE)の発症に深く関与する。

図2.炎症アンプはヒトのさまざまな疾患に関連する
全遺伝子を対象とした3種のスクリーニングの結果をヒト疾患関連遺伝子データベースの情報と照合し、それぞれの遺伝子リストに含まれる疾患関連遺伝子の数を疾患の種類ごとに円グラフで表示したもの。自己免疫疾患に関する遺伝子(赤色の部分)以外にもメタボリック症候群(青色)や神経変性疾患(緑色)、さらに、アトピー、アレルギーを含むその他の炎症性疾患(水色)などさまざまなヒトの病気に関与する遺伝子が炎症アンプ関連遺伝子群に含まれている。

図3.エピレグリンの作用を阻害するとマウスの関節炎が軽減する
関節リウマチのマウスモデルであるF759マウスの後ろ足の関節に炎症アンプを活性化させるIL-6とIL-17を投与することにより、3週間以内に関節炎を誘導することができる。この実験系においてshRNAを用いてエピレグリン(Epiregulin)の抑制(赤矢印)もしくはエピレグリンに対する抗体によってエピレグリンの作用を阻害する(青矢印)と、マウスの関節炎の病状(関節炎臨床スコア)が顕著に改善される。

図4.エピレグリンは患者の血清中で高い値を示す
関節リウマチ、動脈硬化および多発性硬化症の患者の血清中エピレグリン(Epiregulin)は、健康な人(対照)と比較して有意に高い値を示す。
