図1.マウス進化プロジェクト
悠久の年月が必要なため、通常では解析が困難な哺乳類の進化過程を直接的に捉えるため、変異率を上げた(Mutator)マウスを用いた長期間の継代実験に取り組んでいる。各系統には、世代経過とともに、自然選択を受けながら数多くの変異が蓄積されていく。このような方法により、従来までは理解できなかった、複数変異の影響を包括的に捉えた新しい遺伝学研究が可能になる。

図2.Mutatorマウスの継代から誕生した表現型異常の例
A.腹部白毛,B.水頭症,C.閉眼,D.尾切れ,E.尾の屈曲,F.白内障,G.指趾癒合,H.持続勃起症,I.短足かつ短尾,J.毛色異常,K.小鳥のように鳴くマウス(シンギングマウス)

図3.Mutatorマウスで世代経過とともに生じた平均体重の減少と繁殖能力の低下
A.8週齢の雄の体重と継代された世代数の関係。B.1回の交配あたりで生まれる次世代の子供の生育数と継代世代数の関係。Mutatorマウス(赤色)では、世代経過とともに体重や繁殖能力が減少していることが分かる。

表1.哺乳類の世代あたりの変異率と後世代の生存への影響
赤字で示された箇所が、今回の論文で明らかになった。
