$ 0 0 図1.クラスター型プロトカドヘリン(cPcdh)遺伝子群α、β、γの3つの遺伝子クラスターにより、58種類の遺伝子が縦列したゲノム構造をしている(上図)。対立遺伝子ごとに独立して制御されており(下左図)、個々の神経細胞ごとに異なる遺伝子を発現することから、神経細胞の個性化に関わっていると考えられている(下右図)。 図2.cPcdh遺伝子群は発生初期にDNAメチル化されるcPcdh遺伝子のプロモーター領域は胎生3.5日目の胎仔ではほとんどDNAメチル化されていないが、発生が進んだ胎生9.5日目ではDNA鎖ごとに異なるメチル化パターンが形成されている。一方、Dnmt3b欠損マウスではほとんどメチル化されない。メチル化レベルをパーセントで表示。(横棒:DNA 一本鎖、白丸:非メチル化シトシン、黒丸:メチル化シトシン)。 図3.Dnmt3b依存的なメチル化はプルキンエ細胞の樹状突起のパターン形成を制御する(上図)Dnmt3b欠損iPS細胞の樹立とキメラマウスの作製。(下左図)野生型およびDnmt3b欠損プルキンエ細胞の3次元構築像とトレース像。Dnmt3b欠損により樹状突起の分枝の異常が認められる(矢印)。スケールバー 50 μm。(下右図)拡大図。スケールバー 10 μm。 図4.Dnmt3b依存的なメチル化は個々の神経細胞におけるcPcdh遺伝子群のランダムな発現を制御する(上図)キメラマウスの小脳を分散後、GFP陽性(Dnmt3b欠損;矢印)および陰性(野生型;矢頭)プルキンエ細胞のピックアップを行う。スケールバー 100 μm。(下図)単一プルキンエ細胞(Pcp2陽性)におけるPcdh-α遺伝子群の発現パターン。Dnmt3b欠損により単一細胞において発現するPcdh-α遺伝子の数が増加する。 図5.まとめ胎生3.5日目の胚である胚盤胞においてcPcdhのプロモーター領域はメチル化されていない(白丸)が、初期の胚発生期にDnmt3bによって細胞ごとに異なるメチル化パターンが形成される(黒丸)。それにより、後に産生される個々の神経細胞において、細胞ごとに異なるcPcdh遺伝子がエンハンサー(赤丸)によって選択されて発現する。一方でDnmt3b欠損細胞はメチル化されず、個々の神経細胞ですべてのcPcdh遺伝子を発現してしまうため、神経細胞の個性化が起きない。