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Channel: 大阪大学大学院生命機能研究科
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哺乳類ES細胞の新たな未分化維持機構を発見~幹細胞研究や再生医療への新たな展開に期待~

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図1.立体構造予測によるimportinα2とNLSの結合モデル
左は、転写因子Oct3/4(ES細胞の未分化に寄与する転写因子。iPS細胞作製時における山中ファクターの1つ)が、importinα2によって運ばれる時の既知の結合様式を表します。中央は、転写因子Oct6(ES細胞を神経細胞などへ分化させる転写因子)がimportinα2によって運ばれる時の結合様式を表し、今回新規に発見したものです。右は、結合している部分の構造を拡大表示したものです。

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図2.importinα2の基質認識様式と輸送
importinα2は未分化なES細胞に高く発現し、細胞の未分化性を維持する転写因子(Oct3/4など)を効率よく核へと運びます。この場合の結合部位は、importinα2に存在する既知の核局在化シグナル認識部位(図1左の結合様式)です。一方、ES細胞の分化を促進する転写因子(Oct6など)は本研究で見つけた新たな核局在化シグナル認識部位に結合します(図1右側の結合様式)。この状態では転写因子は核へと運ばれず、機能しません。このような核輸送の阻害活性により、importinα2はES細胞の未分化性を保つと考えられます。

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図3.importinα2によるOct6の輸送阻害
動物の培養細胞を用いて、importinα2がOct6の輸送を阻害することを突き止めました。薬剤処理により細胞膜を透過性にして核だけにした培養細胞に、それぞれの輸送因子とOct6を加えて輸送の様子を観察しました。importinα1はOct6を核に輸送しますが、importinα2は輸送しません。importinα1とimportinα2を同時に加えると、Oct6は核に入らなくなります。つまり、importinα1によるOct6の輸送が、importinα2により阻害されます。

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