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Channel: 大阪大学大学院生命機能研究科
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「海馬の機能分化:非空間情報の記憶と化学シナプスにおける潜在的役割」中村望博士(ルール大学ボーフム(ドイツ)「記憶構造」メルカトル研究グループ)

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【日時】8月6日(火)15:00 -16:30
【場所】ナノ棟3F会議室

【演者】中村望博士(ルール大学ボーフム(ドイツ)「記憶構造」メルカトル研究グループ)

【タイトル】海馬の機能分化:非空間情報の記憶と化学シナプスにおける潜在的役割
【要旨】
 空間記憶やエピソード記憶で重要な役割を果たす海馬は、海馬内でさまざまな機能分化を有することが知られています。今回、1つ目の内容として、海馬の横断軸(transverse axis)に沿った空間・非空間情報処理の機能分化、特に、匂いなどの非空間情報の再認記憶課題によって示された機能分化の知見について、行動学的・解剖学的アプローチから紹介いたします(Nakamura et al., J Neurosci 2013)。海馬CA1のみならずrecurrent connection回路を持つ海馬CA3においても、transverse axisに沿って、空間・非空間情報処理の機能分化が示されました。
 また、海馬3領域である歯状回、CA3、CA1は、興奮性神経回路、すなわちグルタミン酸回路ネットワークに基づいて、pattern separation/pattern completionなどの異なった機能を有することが知られています。しかしながら、その他の神経伝達物質の化学シナプス回路の包括的な影響による機能の違いについては、はっきりしていません。2つ目の内容として、化学シナプスに関する海馬3領域の違いについて、網羅的・定量的遺伝子発現解析による知見を紹介いたします(Nakamura et al., Hippocampus 2011)。海馬3領域で、特にGタンパク質共役受容体(GPCR)群の発現の違いが示され、海馬3領域のGPCRの表現型が機能の違いを導く可能性が示唆されました。

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