$ 0 0 図1.背景の役割の新仮説 左: これまでの研究では、標的を消して2秒以上待ってから手を伸ばす、という不自然な実験条件で、「どこに行くか」の記憶には役立つことが知られていました。 右: 私たちは、動く可能性がある標的に手を伸ばすときに生じた誤差が「自分が間違えた」せいなのか、「標的が動いた」せいなのかを区別するのに背景が役立つ、という新しい仮説を提唱しました。 図2.背景の移動によるプリズム順応の加速と減速縦軸が誤差、横軸が試行回数を表しています。移動なし(左)ではプリズムで視野をずらしたことで生じる誤差は徐々に減少していき、プリズムをなくすと(61試行目以降)反対方向への誤差が認められます(矢印:残効)。運動誤差を小さくすると予想される方向に枠を動かしたときは学習が進みにくくなり(中央、ゆっくりとした誤差の減少と小さな残効)、運動誤差を大きくすると予想される方向に枠を動かしたときは学習が促進される(右、はやい誤差の減少と大きな残効)ことがわかりました。