研究セミナー後には、NIHを中心としてグラント(科研費)の仕組みがどうなっているか、また研究者として独立をして仕事を進めて行く上での研究費の獲得に至るまでや、ラボ運営の経済事情についての講演を別枠で行っていただけました。
NIHのグラントの審査の仕組みについては、現地でPIとして研究グループを牽引されておられる方としての、臨場感溢れるお話でした。RO1グラント審査のファーストステップ、スタディセクションはどのようになっているか、どのように審査が進むのかの話も具体的に伺いました。
3人のレビューアーに9段階に分けて詳細にスコアリングされ、申請者に詳しくフィードバックされること、どれもが芳しくなければディスカッションにすら回してもらえない現実があるなど、仕組みは日本よりプラクティカルです。
また、若手の研究者にはNew InvestigatorやEarly stage investigatorとして上記申請時、ポイント付加があること、ポスドクからステップアップのためのKグラントが準備されている等、駆け出し研究者への支援の仕組みもあるようです。
なお、NIHのレポートでは各研究者のグラント獲得状況もPubMedで調べられるとのことです。研究のアクティビティとしての論文業績とともに、経済事情についても、アメリカを中心としたポスドク先を探す上で参考な要素の一つにはなり得るかもしれません。
厳しいながらも仕組みがフェアで透明性のあるグラント審査システムが、アメリカのアカデミアの層の厚みに繋がっていることが感じられるセミナーでした。
(企画室 岡本)