大阪大学 大学院生命機能研究科 研究科長 |
研究って何?
生命機能研究科は、生命のしくみを研究するところです。あなたがこの文章を読んでいるということは、恐らく生命や研究に興味があるのではないかと思います。当研究科を受験する人達に志望理由を聞くと、研究がしたいからと言う答えがよく返ってきます。では研究っていったい何でしょう。病気を治すための研究や災害から社会を守るための研究もありますが、本来的には知的好奇心に基づき人間がまだわかっていないことを「研ぎ澄まし究めること」つまりは本質を理解することを目指すものです。生命機能研究科は、生命という大いなる謎に対して、なぜ?どうなっているの?という根源的な問いかけを行ういわゆる基礎研究の場です。
ここ何年か日本からノーベル賞が次々と出て喜ばしい限りです。2016年のノーベル生理学医学賞を受賞された大隅良典博士(東京工業大学栄誉教授)が興味深いことを言われています。「役に立つか立たないかわからない研究が尊い。」私も同感です。研究という知の地平における探検では、役立つかどうかに捕われていると道は拓けません。そして役に立つかどうかわからないけれど真理を探求した研究から大きな発見が生まれ、本当に役立つ技術が導かれます。大隅博士の研究対象であるオートファジーは今、多くの疾患を抑制していることが判り医学的応用が期待されています。博士らによる分子機構の解明があったから判ったことですが、当初は予想もされていませんでした。
人間性に深く根ざす、知りたいという欲求を原動力とする研究活動=科学は、文化であり人類共通の財産です。我々人類は数千年に亘って営々とひとつずつ発見を積み上げ、壮大な知の伽藍を築き上げてきました。それは目に見えませんが、未完成の美しくも厳かな大建築です(サグラダファミリアのような)。そこには役に立つかどうかを超えた大きな価値があります。さあ、一緒に煉瓦を積み上げませんか?
そして生命機能研究科は「おもろい研究」を標榜しています。そうなんです、研究は実はおもろいんです。なぜおもろいのか、どうおもろいのか、それは内緒です。入学して自分で見つけて下さい。当研究科には「おもろい」がゴロゴロ転がっています。見ようとしないと見えませんが。
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