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Channel: 大阪大学大学院生命機能研究科
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第170回生命機能研究科研究交流会2017年10月4日(水)12時15分~13時講演:堀哲也(染色体生物学研究室(深川研)・准教授)/原昌稔(染色体生物学研究室(深川研)・助教)

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【講演案内】

〇演者1:堀 哲也(染色体生物学研究室(深川研)・准教授)

所属:生命機能研究科・染色体生物学研究室(深川研)
  
演題:「動原体構築を制御するエピジェネティックス」

要旨:

染色体が正確に分配される過程で中心的な働きを担う動原体は、特異的なクロマチン構造を持つセントロメアと呼ばれるゲノム領域中に形成される。動原体が形成されるセントロメア領域には、ヒストンH3のバリアントであるCENP-Aが存在し、セントロメアに特異的なクロマチン構造を規定している。しかし、動原体の形成に必須なクロマチン構造の実体については、明らかになっていない点が多い。我々のグループでは、ニワトリDT40細胞を用いた細胞生化学的手法および染色体工学技術を活用し、セントロメアのクロマチンドメイン形成とセントロメア機能を制御するエピジェネティックスの理解を目指している。これまで我々のグループは、実験的にニワトリDT40細胞内で新規セントロメア(ネオセントロメア)を誘導することに成功した。このネオセントロメアを保持する細胞株を利用して、各種ヒストン修飾抗体を利用した網羅的ChIP-seq解析を行ない、セントロメア領域に特異的なヒストン修飾を複数見出した。本セミナーでは、セントロメアの位置規定と動原体構築を制御するセントロメア特有なエピジェネティックスについて紹介する。

〇演者2:原 昌稔(染色体生物学研究室(深川研)・助教)

所属:生命機能研究科・染色体生物学研究室(深川研)
  
演題:「キネトコアタンパク質間の結合ネットワーク」

要旨:

染色体上にある遺伝情報を次世代へ継承することは、生物が個として、また種としても存続するために必須である。そのために、染色体はS期に正確に複製され、M期に娘細胞へ均等に分配されなければならない。これらの機構が破綻すると、染色体が不安定化し、細胞の腫瘍化やその悪性化の要因となる。染色体を安定に次世代へ継承する機構の理解は、基礎生物学に対する貢献だけでなく、染色体の不安定化を起因とする疾患の発病機構の解明や、それらの創薬ダーゲットの探索へとつながると考えられる。我々の研究室では染色体の均等分配機構を理解するために、セントロメア・キネトコアに注目して研究を行っている。M期の染色体分配に際して、染色体上のセントロメア領域にキネトコアとよばれる巨大タンパク質複合体が形成される。この複合体が紡錘体微小管と正確に結合することで、M期における染色体の均等分配は保障されている。脊椎動物のキネトコアは100種類をこえるタンパク質により構成されており、二つの主要なタンパク質複合体として、CCAN (constitutive centromere associated network) とKMN (KNL1複合体; Mis12複合体; Ndc80複合体) が知られている。CCANは16種のタンパク質からなる複合体で、細胞周期を通じて恒常的にセントロメア上へ局在する。一方、KMNはM期にCCAN上へ集合して微小管に直接結合する。したがって、KMNのCCANへの集合は染色体と微小管との結合の重要な橋渡しとなっている。我々は、キネトコアタンパク質間の結合ネットワークについて詳細な解析を行っており、現在得られた結果は、これまでに提示されてきたキネトコアタンパク質の結合モデルの再考の必要性を示唆している。最近の研究結果を発表し、モデルの再考について議論したい。


世話人:堀 哲也(生命機能研究科 染色体生物学研究室(深川研)・准教授)

Tel:06-6879-4425
E-mail
thori@fbs.osaka-u.ac.jp


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