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Channel: 大阪大学大学院生命機能研究科
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細菌の分泌装置蛋白質の構造を原子レベルで解明! - 生命に普遍的なATP合成酵素の起源は細菌の毛や毒針?

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図1.細菌べん毛
サルモネラや大腸菌は菌体から生えた数本のべん毛を回転させて泳ぎます。それぞれのべん毛の根元には回転モーターがあります。左はサルモネラの電子顕微鏡写真(スケールバーは2 mm)。右はべん毛の模式図(CM:細胞膜;PG:ペプチドグリカン層;OM:外膜)。

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図2.べん毛基部体とべん毛III型輸送装置の模式図
輸送装置は、6種類の膜貫通型タンパク質(FlhA、FlhB、FliO、FliP、FliQ、FliR)でできた輸送ゲート複合体(青色の部分。分泌される蛋白質の通路となる)と3種類の可溶性タンパク質(FliH、FliI、FliJ)でできたATPアーゼ複合体(青色の下の緑色の部分。ATPのエネルギーを使って効率よく分泌を行う。)で構成されます。輸送装置を包むべん毛基部体のCリングの直径は約45 nm。(CM:細胞膜;PG:ペプチドグリカン層;OM:外膜)。

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図3.FliH-FliI複合体の構造
(A)FliH-FliI複合体の全体構造。2個のFliH分子を青色と桃色、FliIを緑色で表示。
(B)FliHの2量体とV型ATPアーゼ固定子の構造比較。左はFliHの2量体、右端はV型ATPアーゼ固定子(緑色:Eサブユニット、オレンジ色:Gサブユニット)、両者の重ね合わせを中央に表示。

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図4.べん毛III型輸送ATPase複合体のモデル
(A)FliH-FliI複合体のリングモデル。輸送ATPアーゼ複合体中ではFliH-FliI複合体が6個あると考えられています(FliI分子を6、FliH分子を12含む)。各々のFliH-FliI複合体は別々の色で表示しています。
(B)(A)を下から見た図。
(C)べん毛輸送装置全体の低分解能電子顕微鏡トモグラフィー像にモデルを当てはめた図。今回の解析には含めなかったFliHの削った部分を緑色、FliJを桃色で表示。
(D)V型ATPアーゼとATP合成酵素の模式図。V型ATPアーゼではA,B,D,E,Gと標記されたサブユニット群、ATP合成酵素ではα,β,γ,δ,b2と標記されたサブユニット群が、輸送ATPアーゼ複合体のFliH、FliI、FliJに相当する。

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