日時
2016年1月22日(金)16:00~17:00
場所
生命システム棟2F セミナー室
演者
岡村大治(近畿大学 農学部 バイオサイエンス学科 動物分子遺伝学研究室 講師)
演題
新規培養条件がもたらす新規多能性
要旨
今回我々は「(1)タンパク質 FGF2、(2)小分子化合物 Wnt inhibitor、(3)無血清」という培養条件を満たすことによって、着床前後のマウス胚から100%という高効率で新規多能性幹細胞「領域選択型エピ幹細胞」を樹立することに成功しました。新規マウスエピ幹細胞は、従来の多能性幹細胞には見られない「領域選択性」を持ち、着床後のマウス胚に対し後極側に細胞塊を移植した時のみ、定着・増殖・拡散・分化をすることが観察されました。またマウスのみならず、この培養条件はサルやヒト ES/iPS 細胞にも適応可能であり、新規条件下で培養されたヒトES細胞は、トリプシンによる単一細胞化に対し抵抗性を獲得します。また着床後のマウス胚の後極側に対し移植可能であり、 移植された細胞は定着・増殖・拡散したうえ、三胚葉に分化することが観察されました。新規培養条件はヒトES細胞に対してもまた、従来とは違う新しい性質を付加する働きを持つことが明らかとなりました。