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Channel: 大阪大学大学院生命機能研究科
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「遺伝子組換えマウスを用いたエピジェネティックス研究 -X染色体不活性化をモデルとして-」小林慎(東京医科歯科大学難治疾患研究所 エピジェネティクス分野 非常勤講師)

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日時

2016年1月19日(火)16:30~17:30

場所

ナノバイオロジー棟3F セミナー室

演者

小林慎(東京医科歯科大学難治疾患研究所 エピジェネティクス分野 非常勤講師)

演題

遺伝子組換えマウスを用いたエピジェネティックス研究
-X染色体不活性化をモデルとして-
Epigenetic studies on development using genetically modified mice
-X chromosome inactivation as a model case-

要旨

エピジェネティクス代表的な例である「ゲノム・インプリンティング 」、「X 染色体の不活性化」は哺乳類の個体発生に必須である。更に、これらの制御の異常はヒトの癌など様々な疾患や、iPS 細胞のリプログラミングの失敗とも関連することが報告されており、医学分野からも注目されている。実際、複数の疾患で原因となるインプリント 遺伝子が同定される一方で、X 染色体不活性化は幹細胞の未分化状態を評価する指標として利用され始めた。この様に注目を集める現象だが、エピジェネティクスの異常で起こるヒト疾患の全貌はまだ明らかにはされておらず、制御メカニズムの解明も進んでいない。我々は、エピジェネティックスの制御機構の理解を目指し、「ゲノム・インプリンティング」、「X 染色体の不活性化」に注目し、これまで報告の殆どなかったX染色体上に発見したインプリント遺伝子を解析の切り口にして、哺乳類の初期発生におけるエピジェネティック制御の解明に取り組んでいる。見た目では雌雄の判別が困難な初期胚を蛍光の有無で区別する遺伝子組換え動物を用いて、X染色体上にインプリント遺伝子を複数見いだす事に成功した。その内幾つかの遺伝子について、不活性化機構との関連を調べる為にKOマウスを作製し解析している。更に、生きたままの細胞でX染色体の再活性化をライブイメージングできる系を開発した。この「再活性化」は幹細胞の多能性を示す指標になりうる点で興味深い。本技術開発により、これまで難しかった異なる多能性を持つ幹細胞を簡単に区別することが出来るようになった。本セミナーではKOマウス解析、イメージング技術の最新の知見について紹介したい。


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