石井優教授(免疫細胞生物学研究室)が第11回日本学術振興会賞を受賞することが発表されました。本受賞は「生きた動物内での骨免疫細胞の動態解析法の開発とその制御機構の解明」の研究業績が評価されたものです。
日本学術振興会賞は、人文学、社会科学及び自然科学の全分野において、特に優れた成果をあげている45歳未満の研究者を顕彰するものです。若手研究者の研究を支援することにより、日本の学術研究の水準を発展させることを目的として、平成16年度に創設されました。今回(平成26年度)は、25名の研究者が選ばれました。日本学術振興会websiteで詳細をご覧いただけます。
以下に授賞理由を掲載します。「生きた動物内での骨免疫細胞の動態解析法の開発とその制御機構の解明」
(Mechanism for Bone Remodeling by In Vivo Imaging of Bone Immune Cell)
骨は常に作りかえられており、その異常は骨粗鬆症やリウマチなどの骨の病態として現れてる。しかし、最も硬い組織である骨や骨髄の中の細胞の動態を生きた動物で調べることはこれまで技術的に困難だった。石井優氏は、新しい顕微鏡技術である多光子励起法を用いて、生きた動物の骨組織・骨髄内の細胞を観察する方法を確立させた。このイメージング法を用いて、骨を破壊・吸収する免疫細胞の一種である破骨細胞が血管から骨表面へと移動する様子を生きた動物で観察し、移動を制御する因子としてスフィンゴシン1リン酸が重要であることを明らかにした。さらに、以前から骨代謝に重要であることが知られているビタミンDがスフィンゴシン1リン酸の受容体の発現を減らして破骨細胞が骨に近づくことを制御して、骨破壊を抑制していることを明らかにした。このように石井氏の研究成果は生体での骨の代謝や疾患に対する新しい研究戦略を切り開くものと期待される。
授賞式は、平成27年2月24日(火)に日本学士院で行われる予定です。